知って欲しい「カルシウムパラドックス」

皆さんは「カルシウムパラドックス」という言葉を耳にしたことがありますか?今回は、あまりなじみのない方が多いと思われる「カルシウムパラドックス」について、解説してみたいと思います。

パラドックス(paradox)の意味は「逆説、矛盾(した言葉・行為)、矛盾しているようにみえる人(もの)」(*1)です。

カルシウムについて、何が矛盾しているように見えるかというと、「細胞、動脈、血管壁などにカルシウムが多く溜っている人は、カルシウムの摂取過剰が原因と思わるが、実はカルシウムが不足しているために骨からカルシウムが動員された結果である」ことから逆説的であると言われます。さらに血管壁に沈着したカルシウムが、血管を硬くして動脈硬化を起こします。このようなことを、「カルシウムパラドックス」と呼びます。

人体には血中のカルシウムを一定に保つ仕組みがありますので、カルシウム摂取が不足すると副甲状腺ホルモンが出て、骨からカルシウムが動員され、血液中のカルシウム濃度を調整します。しかし、カルシウムの経口摂取が長期に渡り不足すると、副甲状腺ホルモンを出す指令が頻繁に出て、カルシウム量が必要量を上回ってしまいます。この時、余分なカルシウムイオンが血管、脳や軟骨などに入り込み動脈硬化、結石などを引き起こし易くなります。

カルシウムの経口摂取が多過ぎても、腸で吸収されないものは便で排泄されたり、腸で過剰に吸収された分は尿に排泄されますので、カルシウムは一度に大量摂取しても、意味がありません。毎日必要量を継続して摂ることが大切です。

昨年12月に発表された「平成24年国民健康・栄養調査」の報告でも、カルシウムの摂取量は引き続き不足していました。

皆さん、大事な栄養素であるカルシウムを積極的に摂りましょう!

(*1)出典:ジーニアス英和辞典

参考:西澤良記・白木正孝・江澤郁子・広田孝子「カルシウムーその基礎・臨床・栄養」

社団法人全国牛乳普及協会、1999、61-67, 268-274

くすりの和漢堂 http://www.wakando.jp/kenko-info/calcium-1.htm