体温調節に大切なカルシウム

 今年は長い梅雨寒の日々が続き、梅雨が明けたら気温が急激に上昇して真夏日が続きました。9月から10月初めは秋の気配を感じるような涼しい日になったかと思えば、また夏に逆戻りのような日々が続いた後、昼間は20℃を超えるけれども夜はぐっと気温が下がり1日の気温変動の激しい10月下旬となっています。肌寒い梅雨日から真夏日へ、また真夏日から秋の気配のする涼しい日へ、そして急激な気温低下という温度変化に加え、朝・昼・夜の寒暖差もあり、体の機能がうまく調節できず、体調不良になってしまった方も多いのではないではないでしょうか?

 私たちの身体は気温に合わせて体温を調節しています。春から夏へ、夏から秋へというように少しづつ変化する気温の変化には徐々に体温調節を行うことができますが、急激な気温変化や気温の乱高下の場合は体温コントロールがうまくいかず、体調不良を引き起こしてしまう可能性があります。

 恒温動物であるヒトの体温は、外部環境によって上下することはなく、一定に保たれています。

 暑くなり体温が上昇すると、汗をかいて体温を下げようとします。また、寒くなって体温が低下すると、肝臓や筋肉の代謝を促進し、発熱量を増加させ、また皮膚の血管や立毛筋を収縮させて熱放散を減少させて体温を一定に保っているのです。

 このような体温を一定に保つための体温調節中枢は、視床下部にあります。脳の深部の温度と身体の抹消で感じている温度の情報を処理して、自律神経を介して体温調節する機能を持っています。 

 カルシウムはグルコース(ブドウ糖)と同様に、脳や自律神経の機能に重要なはたらきをしています。細胞外液中のカルシウムイオンは神経細胞に電気信号を送って脳神経細胞の調節をしています。細胞外液のカルシウムイオンが不足すると、自律神経の機能が乱れやすくなり、体温調節の乱れなどの症状が現れることがあるのです。

 カルシウムを積極的に摂取することは、気温変化に対応する体作りに役立つと考えられます。日々の食事にカルシウムの多い食材を取り入れ、サプリメントやカルシウム強化飲料なども利用して、意識的にカルシウムを摂るようにしましょう!

 

参考  藤田拓男:カルシウムのすべて あき書房