カルシウム推奨量の求め方からわかるカルシウム摂取の重要性

前回は、2020年版日本人の食事摂取基準では、カルシウム推奨量は骨量を維持するために必要な量として、要因加算法という方法によって設定されていることをお伝えしました。
今回は、要因加算法でどのようにカルシウム推奨量を算出しているのかについてお伝えします。

要因加算法では、体内に蓄積されるカルシウム量,尿中に排泄されるカルシウム量,汗などから失われるカルシウム経皮的損失量を算出し,これらの合計を見かけの吸収率*で割って推定平均必要量を求めています。

*摂取したカルシウム量と便中に排泄されたカルシウム量の差し引きから見かけ上のカルシウム吸収率を算出する方法(出納法)。

要因加算法によって求めたカルシウムの推定平均必要量と推奨量
  (2020年版日本人の食事摂取基準より抜粋)

     

例えば、30~49歳の女性の場合、体内に蓄積されるカルシウムは見かけ上ゼロです。毎日尿の中に118mgのカルシウムが排泄され、汗など経皮から排泄されるカルシウム量は20mgなので、少なくとも138mgのカルシウムを吸収しなければ、カルシウムの吸収と排泄の均衡が保たれず、健康を維持することができません。しかし、カルシウムの見かけの吸収率は25%、つまり1/4程度で、残り3/4は消化管を素通りして便の中に出てしまうのです。138mgを確保するためには4倍の550mgが必要です。
そして、安全率を20%として660mgを1日の推奨量として設定しています。

必要な量のカルシウムが吸収されなければ、これまでのトピックスでお伝えしてきましたように、骨からカルシウムを取り出して利用するので、骨量の維持ができず骨がスカスカになる骨粗鬆症になってしまいます。
成人の場合は、体内に蓄積されるカルシウム量が図のように見かけ上ゼロなので、骨のカルシウムは収支バランスが取れた状態にあります。もし、骨の維持に必要なカルシウムが供給されなければ、骨のカルシウムは減っていきます。
骨の健康を維持するためには、毎日、必要量のカルシウムを摂取することが大切です。

カルシウムを多く含む牛乳や小魚を積極的に摂取したり、体内への吸収率の高いカルシウム素材を使用したカルシウム飲料やサプリメント等を利用してカルシウム摂取を心がけましょう!

参考資料

厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

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