国民健康・栄養調査からわかるカルシウムの重要性

厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」の平成29年の調査結果が発表されました。

今回の調査では、高齢者の健康・生活習慣の状況を通年の基本項目に追加して実施しています。その調査項目のひとつである65歳以上の「歯・口腔の健康に関する状況」の結果をご覧ください。

かんで食べるときの状態別、低栄養傾向の者(BMI≦20 kg/m2)の割合

               (平成29年 国民健康・栄養調査 結果の概要 P14より抜粋)

グラフより、「何でもかんで食べることができる以外の者」、言い換えると「何でもかんで食べることができない者」は「何でもかんで食べることができる者」に比べ低栄養になる傾向が高いことがわかります。

高齢になると歯の保有状況が低くなり、「何でもかんで食べること」が難しくなってくると考えられます。低栄養にならないようするには、よくかめるように「歯」を失わないようにすることが大切です。

カルシウムをたくさん摂取すれば「歯」が丈夫になる訳ではありませんが、このサイト「歯周病とカルシウムの関係」でもお伝えしていますように「歯」を失う原因になる歯周病にはカルシウム摂取不足が関係していると報告されています。

また、20代~50代の女性のやせについても調査結果の課題のひとつとして挙がっています。「健康日本21(第二次)」では、若年女性のやせは骨量減少、低出生体重児出産のリスク等と関連があることが示されています。このサイト「胎児の成長とお母さんに必要なカルシウム」でもお伝えしていますね。

私たちの健康に大きくかかわっているカルシウム、平成29年の摂取量の結果は前年の平成28年より増加していますが、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で示された各年齢の推奨量よりも7-14歳を除くすべての年齢層でかなり低くなっています。特に働き盛りの20代~40代は推奨量の2/3に届いていません。


「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の案では、30 歳以上の男性のカルシウム推奨量がさらに上がる予定です。また,カルシウム吸収を促進するビタミンDの目安量は成人男女ともに大幅に上がる予定です。このようにカルシウムの吸収を高めることも今後も重要になります。

カルシウムは骨、歯はもちろん、健康の維持に重要な役割を果たす栄養素のひとつです。 日々の食事はもちろん、カルシウム強化の飲料やサプリメント等で積極的に摂取して、毎日を健康に過ごしましょう。

参考資料

厚生労働省「平成29年国民健康栄養調査」

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」

厚生労働省「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」